ダイス鋼の特徴

ダイス鋼は、冷間金型向けに開発された合金工具鋼で、JIS規格ではSKD11と呼ばれます。ダイス鋼の「ダイス」は、金型を指す「ダイ」の複数形からきています。

ダイス鋼は鉄をベースに、クロム12%、炭素1.5%、モリブデン1%、他にマンガン、ケイ素、バナジウムを含む合金です。

熱処理を施すことで、HRC58以上の高い硬度を得られる上に、熱処理やワイヤーカット、放電加工で発生する歪みも少なく、安定した寸法を得やすいのが特徴です。

焼入れ性が高いのも大きな特徴で、ワークが大きくても空冷で焼入れ処理ができるため、大型の金型でも作業性に優れます。また、窒化処理でも表面硬度が上げられることも知られています。

加えて、刃特性が高く、研磨などをすることでエッジ部を高い切れ味に仕上げられるのも特徴です。

ダイス鋼は高温では軟化しやすい特徴があるため、加工温度が高くなる加工には向いていません。ダイス鋼の使用は、高温になりすぎない範囲での用途に限られます。熱間での加工に使用する場合は、熱間ダイス鋼というものも存在するのでそちらを利用するといいでしょう。

ダイス鋼には、材料メーカー各社が独自に開発した改良ダイス鋼と呼ばれるものも流通しています。改良ダイス鋼は、耐摩耗性や靭性、耐チッピング性などを高めたものがあるのが特徴です。

ダイス鋼の主な用途

ダイス鋼切削加工

ダイス鋼が最も利用されているのは、薄板の金属プレス金型です。

耐摩耗性に優れるダイス鋼は、中から大ロットの加工で利用されることがほとんど。少量生産の場合であれば、切削性の観点からSK材やSKS材が採用される場合が多く、使い分けがされています。

また、ダイス鋼は焼入れ歪みが非常に小さいため、精密プレス金型でもよく使用されるのが特徴です。

ほかには、薄板の切断に使用するシャーリングの刃や測定に使用するゲージ、ネジ転造用のダイスなどにもダイス鋼はよく採用されます。

ダイス鋼の切削性

ダイス鋼の切削性は、焼入れ前であればそれほど難しくはありません。

焼入れ前であれば、効率こそ悪いもののハイス鋼工具でも加工できてしまうので、それほど加工に困ることはないでしょう。超硬合金の工具を使用すれば大抵の場合で、問題なく加工ができてしまいます。

一方で、焼入れ後のダイス鋼の切削は、硬度が高いため工具選定も重要です。現在では、TiAlNコーティングが施された超硬合金素材の刃物が最適とされていますが、加工条件の決定は一筋縄ではいかないでしょう。

ダイス鋼切削加工