プレス絞り加工なら小林製作所へ!

製品名: 通信機器用部品
材質 : SUS304 2B
板厚 : t1.0
サイズ: Φ110×15
工程 : 外形抜き⇒絞り⇒エンボス加工
特徴 :

製品名: 食品製造用部品
材質 : A5052P
板厚 : t2.0
サイズ: Φ75×50
工程 : 外形抜き⇒絞り1工程⇒縁切り⇒カーリング2工程
特徴 :

製品名: 照明機器用部品
材質 : SUS304 2B
板厚 : t1.0
サイズ: Φ75×80(フランジ部Φ95)
工程 : 本体 外形抜き絞り⇒底部成形絞り⇒穴抜き
特徴 :

製品名: 防水カバー
材質 : SUS304 2B
板厚 : t1.5
サイズ: 160×125×90
工程 : 絞り3工程⇒縁切り⇒穴抜き
特徴 :

プレス絞り加工とは? ヘラ絞りとの違いやプレス絞りが難しい理由も解説

プレス加工には多くの加工法があり、プレス絞り加工はその中で最も難しいとされる加工法です。しかし、プレス機でおこなう「絞り加工」がなぜ難しいのか、そもそも、どのような加工方法なのかを詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。今回は「絞り」の基礎知識を踏まえて、プレスによる絞り加工やヘラ絞りとの違い、プレス絞りが難しい理由について解説します。

絞りとは

「絞り」は1枚の金属板を容器形状に変形させる塑性加工です。金属板を絞るように圧力を加えると立体的に変形します。机の上に伏せたコップにハンカチをのせ、コップの形に沿うように手で押さえる(絞る)様子をイメージすれば理解しやすいかもしれません。これと同じ原理で素材を立体加工するのが「絞り」です。

絞りは円柱や円すいといった単純な形状から、鍋やフライパン、お椀のような絶妙な曲げ具合の加工、さらに複雑な形の製品加工まで対応できます。絞りの製作物には継ぎ目がないのが大きな特徴です。

立体成型の加工法には、絞り以外にも「張り出し加工」があります。張り出し加工とは、金属の延性(延びる性質)を利用し、圧力によって金属板を延ばして成形する方法です。表面に凹凸をつける「エンボス加工」も張り出し加工に含まれます。ハンマーなどの工具を使う手板金では、職人の技術によって緻密で複雑な張り出し加工も可能です。

絞り加工と張り出し加工の違いは「金属板を延ばして成形するかどうか」です。絞りは金属板を延ばさないため成形の前後で板厚が変わらず、張り出し加工よりも深い容積を持った製品を作成できます。

プレスによる絞り加工とは

プレスとは、金型を取り付けたプレス機械を使用して、金属素材にせん断、打ち抜き、穴あけなどをおこなう加工技術です。絞り加工もプレスで対応できますが、難易度が高く慎重な作業が求められます。ここでは、プレスによる絞り加工の種類や工程、加工可能な形状について解説します。

プレス絞り加工の種類

絞りの深さによって「浅絞り加工」「深絞り加工」に分けられます。製品の直径よりも深さ距離が短いのが浅絞り加工、長いのが深絞り加工です。

成形したい形状に合わせて、以下の6種類の絞り加工から選択します。

  • 円筒絞り加工
  • 角筒絞り加工
  • 円すい絞り加工
  • 角すい絞り加工
  • 球頭絞り加工
  • 異形絞り加工

プレスによる絞り加工は上下の金型で挟んで加圧して成形するのが一般的です。ほかに、熱を利用する「温間成形法」や液圧を利用する「対向液圧成形法」もあります。素材特性や製品形状によっては、これらの特殊な絞り加工を採用します。

プレス絞り加工の工程

プレスによる絞り加工では、パンチ(上から押し込む金型)が、ダイ(目的の形状になっている下側の金型)に沈み込んで成形するのが基本の流れです。ひびや割れ、ひずみがないように加工するため、次の工程を踏む必要があります。

1)ブランク(板)の形状と寸法を決める

複雑な形状になる場合でも、体積一定の法則によってブランクの寸法と形状が求められます。絞り加工後の完成品の体積から、材料であるブランクの直径が逆算できます。絞り加工後に縁をトリミングする場合は、トリミング代がとれるようにブランク直径を決めます。

2)絞りの回数を定める

1回の絞りで成形できる深さには限界があるため、素材ごとの限界絞り比、あるいは限界絞り率から必要な絞り回数を判断します。2回目以降の絞りは「再絞り加工」といいます。

3)金型を設計する

プレスによる絞り加工の金型として、パンチとダイ、ブランクホルダーの設計が必要です。何度か再絞りをおこなうのなら、最後の絞りから初絞りまで順にパンチ肩の半径とパンチ直径を計算していきます。ダイの設計では、ダイ穴径とクリアランス、ダイ肩の半径を決定します。

4)プレス機械を選定する

必要な「絞り加工力」を求め、適切なプレス機械を選びます。金型を取り付けるのに十分な寸法があることや、絞り加工力とシワ抑え力を同時に出力できる加圧性能を持つこと、逆方向の加圧力で成形品をパンチから取り外せることも選定条件として重要です。

5)絞り材料を決定する

材料を決定する際は、素材の特性である「引っ張り強さ」「降伏点」「伸び」「硬さ」を検討します。中でも「伸び」に関わるr値とn値は、絞り成形法に大きく影響する要素です。r値が大きいほうが、より絞りやすい材料です。また、材料のn値が大きいほど加工や変形で硬くなりやすい性質を持ちます。

6)適した潤滑油を選ぶ

プレス絞り加工では油性または水性の液圧潤滑油を用います。粘度や洗浄性、冷却性などを勘案して選ぶことが大切です。潤滑油が金型とブランクに起こる摩擦を減らし、破断や焼付き、かじりなどの発生を抑えられます。

ヘラ絞りとプレス絞りの違い(メリット・デメリット)

代表的な絞り加工の技術には、プレス絞り以外に「ヘラ絞り」があります。ヘラ絞りは職人が手作業でおこなう「手絞り加工」と機械でおこなう「自動絞り」の2種類です。金属を回転させながら加工するため「スピニング」ともいいます。ここでは、ヘラ絞りとプレス絞りのメリットとデメリットを挙げ、2つの加工法の違いを説明します。

ヘラ絞りのメリット

・初期コストが安い

ヘラ絞りは金型が1つで済むため、プレス絞りに比べて設備にかかる費用を抑えられます。金型より低コストの木型も使用できますし、高価なプレス機も不要です。

・製作期間が短い

ヘラ絞りは金型の作成時間を省けるため、熟練の技術者の手にかかれば簡単な製作物なら1時間で完成します。複雑なものでも1週間もあれば十分です。

・加工品質が高い

ヘラ絞りをおこなう職人の技術や機械の性能が向上し、安定した精度を出せるようになりました。プレス絞りに比べて出来上がりの表面が滑らかで、軽量化や強度の改善も図れるなど品質面に優れます。

・対応範囲が広い

扱う素材にもよりますが、ヘラ絞りは数mm単位の小さい製品から、数m規模の大きい製品まで幅広く加工できます。複雑な形状を絞る場合でも問題ありません。

ヘラ絞りのデメリット

・作業者の技術が不可欠

ヘラ絞りのメリットは、熟練の職人がいて初めて成り立つものです。製造業界では後継者不足が叫ばれて久しいですが、若い職人がいなくなればヘラ絞りの技術も廃れていく恐れがあります。

・大量生産には不向き

いくら製作期間が短いといっても、量産は技術者の負担が大きくなるため現実的ではありません。試作品や小ロットの生産にヘラ絞りを採用しましょう。

プレス絞りのメリット

・加工速度が速い

プレス絞りは金型の製作に時間を要しますが、いったんプレス工程に入れば高速に製品を作っていけます。単純形状なら1個あたり数秒で完成させることも可能です。

・大量生産に最適

機械で自動化できるプレス絞りは、長時間にわたって稼働させられます。人の手が必要なヘラ絞りよりも大量生産向きで、特に単一製品を量産したい場合に最適です。

プレス絞りのデメリット

コストと時間がかかる

プレス絞りではプレス機と金型2つ(パンチとダイ)を用意するための初期費用が必要です。金型の設計から含めると最低でも10日程度、製品の複雑さによっては1カ月以上の製作期間を要します。

加工の難易度が高い

プレス加工の多くは比較的簡単に生産できる手法なのですが、プレス絞りに関してはそれが当てはまりません。加圧の調整がまずければ不良品が多く発生し、加工費がかさんでしまいます。バリやリングマーク(ショックマーク)のケアも必要です。

プレス絞り加工が難しい理由

プレス絞り加工が難しいのは「しわ」や「割れ」「くびれ」が発生しやすいためです。加圧調整が適切にされていないと不良品が多くなり、コストも余計にかかってしまいます。加圧調整の難しさがプレス絞り加工の難しさといっても過言ではありません。ここでは、プレス絞り加工を難しくさせている3つの不良について説明します。

しわの発生と対処法

ブランクが金型に引き込まれるときに「しわ」が発生することがあります。しわ押さえの圧力が不十分だったり、パンチとダイのクリアランス(隙間)が大きかったりすることが原因です。

しわ押さえがブランクを確実に押さえられているか確認し、加圧が均一になるように調整して対処します。パンチとダイの隙間にも注意しましょう。

割れの発生と対処法

割れには「底抜け」や「フランジ部割れ」「ボディ割れ」があります。絞り加工後、数日経ってから割れるのは「置き割れ(シーズンクラック)」です。

しわ押さえが強すぎてブランクが圧力に耐えられない場合や、パンチRまたはダイRが小さい場合など、原因はさまざまです。割れ方に応じて適切な対処をおこないます。

くびれの発生と対処法

くびれはネッキングともいい、ブランクが圧力に耐えられずに反ってしまう不良のことです。くびれが原因で割れが発生することもあります。

くびれの発生を抑えるには、ブランクへの加圧が大きくなりすぎないような調整が必要です。

プレス絞り加工の難易度は高いが大量生産に欠かせない技術

プレス絞り加工の種類は、絞りの深さや絞りの形状などによって多岐にわたります。どのプレス絞りもヘラ絞りよりコストと工数がかかるうえに、プレス加工の中では最も難しい加工方法です。しかし、設計の自由度が高く、複雑な立体形状の製品を量産するのに欠かせない技術ともいえます。

金属加工の方法は多種多様で、製品や部品ごとに適した加工法を選ぶことが重要です。円筒形や円すい形、あるいは特殊な立体形状を作成したい場合には、継ぎ目なく製作できるプレス絞り加工を検討してみてください。

小林製作所ではプレス絞り加工に長年の経験と実績があります。お気軽にご相談ください。