プリハードン鋼

プリハードン鋼の特徴

プリハードン鋼は、焼入れ焼戻し鋼と呼ばれる材料に分類され、プラスチック金型で主に使用されます。
プリハードン鋼は、中程度(HRC45以下)の硬度に調整された鋼材で、被削性に優れているのが特徴です。
被削性に優れているのに加えて、切削後に硬度を上げるための焼入れ処理を施す必要があまりなく、加工後にすぐに製品として利用できる耐久性を持つのがプリハードン鋼の大きなメリットといえるでしょう。
また、プリハードン鋼は硬度のムラが少なく、切削時のトラブルになりにくいというのも大きな特徴です。金型として使用する場合においては、耐摩耗性を上げたい場合に「窒化処理」が施される場合もあります。

難削切削

プリハードン鋼の規格について

プリハードン鋼は、JIS規格としては登録されていません。そのため、材料メーカーの各社がそれぞれで規格が設定されています。代表的なプリハードン鋼の規格は、下記のようになります。※左から規格名・HRC(ロックウェル硬さ)・優れる特性となります
・PXA30・・・30〜33・・・溶接性、被削性、シボ加工性、放電加工性
・NAK55・・・37〜43・・・被削性、溶接性、鏡面加工性、シボ加工性
・NAK80・・・37〜43・・・鏡面加工性、放電加工性、靭性
・HPM7・・・29〜33・・・溶接性、鏡面加工性、放電加工性、窒化特性
・HPM1・・・40・・・溶接性、被削性、鏡面加工性、放電加工性、窒化特性
NAK材に関しては「時効硬化」と呼ばれる熱処理が施されており、加工後に焼入れ処理を施しても硬度が上がらないという特徴があります。

プリハードン鋼の主な用途

プリハードン鋼は、主にプラスチックの成形金型の材質として利用されています。
優れた加工性と十分な硬度から、熱処理の工程を省略し、コストダウンをしたい部品などでもよく利用されるのが特徴です。
また、プリハードン鋼を用いた場合、熱処理を施さなくても適度な硬度が確保できるため、熱処理での寸法変化を嫌う製品でもよく利用されます。
プラスチック金型以外の用途として下記のようなものが挙げられます。
・自動車部品
・ゴム金型
・家電製品

プリハードン鋼切削加工

プリハードン鋼の切削性

プリハードン鋼は切削性に優れており、一般的な炭素鋼材と遜色のない加工が可能です。

プリハードン鋼切削加工

超硬合金やハイス鋼など、切削工具の材質もほとんど選ばずに加工ができ、よほどの難しい加工をしない限り切削に悩むことはありません。

エンドミルの場合は、加工時のビビリを減らしたいのであれば、不等分割、不等リードのものを利用するのがおすすめです。コーティングの施された超硬合金なら、長寿命で高効率な運用ができます。